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小学校でプログラミング教育必須へ!
プログラミング教育の必修化を推進する背景として、WebエンジニアをはじめとするIT人材の不足があります。先日経済産業省が発表した、IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果によると、2020年に36.9万人、2030年には78.9万人のIT人材が不足すると予測しています。
今後もIT関連のビジネスは拡大していくと予想される一方で、それに対応するIT人材の数が追いつかないと予測されます。
この課題は日本だけでなく海外でも予測されており、アメリカでプログラミング教育の推進を進めるNPO法人のCode.orgの調査によると、2020年には40万人のプログラマーが足りなくなると言われています。
プログラミング教育の必修化に向けた国内の動き
小学校でのプログラミング教育の必修化は突然検討されたわけではありません。これまでの国内の動きをおさらいしてみます。
まず2012年から新学習指導要領に基づき、中学校の技術家庭科で「プログラムによる計測・制御」が必修になりました。ただし、以前にTechAcademyマガジンで取材したなぜプログラミングが必要なのかというイベントでも語られたように、たまたま能力の高い先生にあたれば正しく学べるが、現実はうまくいっていないといいます。
続いて2013年6月に発表された、政府の成長戦略の中に「プログラミング教育」について明記されました。この中には、「義務教育段階からのプログラミング教育等のIT教育を推進する」という内容が盛り込まれています。
成長戦略にプログラミングが盛り込まれた背景には、第6回産業競争力会議で楽天の三木谷氏が提出した資料が影響していると予想されます。三木谷氏の資料では、ビジュアルプログラミング言語Scratchを使用することなど具体的な内容が提案されていました。
同じ頃、2013年6月に中高生向けのプログラミング教育サービスを提供していたライフイズテック株式会社と株式会社サイバーエージェントが合弁会社でCA Tech Kidsを設立し、小学生向けのプログラミング教育サービスの展開を始めました。2015年に総務省が発表したプログラミング⼈材育成の在り⽅に関する調査研究によると、ちょうどCA Tech Kidsが設立された2013年以降から子ども向けのプログラミング教室が増えているそうです。
そしてついに2016年4月に文部科学省が小学校でのプログラミング教育必修化を検討すると発表されました。これを受けて文部科学省の有識者会議でどのように進めていくかといったことが議論されています。
他にもIT人材の不足に対応するため、総務省は2025年までにIT人材を新たに100万人育成する方針を発表しており、プログラミング教育が推進されています。
プログラミング教育の海外事情
海外ではすでにプログラミング教育の推進が進んでいる国もありますので、一部の国の取り組みをご紹介します。
アメリカ
先程も紹介した、プログラミング教育の推進を進めるNPO法人のCode.orgの動きが活発です。
2013年年末に公開されたキャンペーンでは、オバマ大統領自らプログラミング教育の必要性を訴える動画が公開されたり、FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグといった著名人がコメントした動画も話題になりました。
また、プログラミングができると就職にも有利になるということから、コーディングブートキャンプと呼ばれる短期集中型のプログラミングスクールが急激に増えており、2015年には約211億円ほどの市場規模になっています。
シンガポール
シンガポールでは、経済の活性化を目的としてプログラミング教育が推進されています。
THE BRIDGEの記事によると、インターネット産業を担うInfocomm Development Authority of Singaporeという国家機関では、公立学校にプログラミングの授業を積極的に導入することを検討しているということです。
エストニア
人口が130万人という、ヨーロッパの小国でもプログラミング教育に力をいれています。
バルト三国の一つであるエストニアでは、プログラミング教育を小学校一年生から始めることを発表していて、Microsoftもこの活動に支援しています。エストニアはSkypeを生んだ国ということでも有名で、法案の草案をオンラインで公開して意見を求めたり、国民の7割以上はオンラインバンキングを利用するなどITが発達している国でもあります。
イギリス
イギリスは他の国と違って、まずは子どもたちを教える先生へのプログラミング教育を進めようとしています。2014年2月に行われたイベントで、財務長官と教育長官が教師を対象にするプログラミングの教育訓練を開始すると発表しました。
イギリス政府は50万ポンド(約8500万円)を投じて、民間の企業のカリキュラムを教師が習うということを実行するそうです。
フィンランド
北欧のフィンランドでは、2016年から小学校でプログラミングが必修科目になりました。もともとフィンランドは、インターネットに接続する権利を国が保証すると宣言するなどITに力を入れている国の1つです。
プログラミング必修化に対するアンケート結果
今回のプログラミング教育必修化の発表を受けて、TechAcademyでは過去の受講生にプログラミング教育の必修化についてのアンケートを実施しました。TechAcademyではオンラインブートキャンプを中心に、プログラミング初心者向けのコースの提供を進めています。
すでにプログラミングを学習している方へのアンケートとなりますが、151人の有効回答数が得られました。
回答者のデータ
プログラミングを勉強している人にやや男性が多いため、今回のアンケートも男性が多くなっています。
年齢 | 男性 | 女性 | 合計 |
20〜29歳 | 18 | 7 | 25 |
30〜30歳 | 36 | 11 | 47 |
40〜49歳 | 37 | 14 | 51 |
50〜59歳 | 22 | 6 | 28 |
合計 | 113 | 38 | 151 |
アンケートの回答結果
プログラミング必修化への賛成・反対を含めて、4つの質問の回答結果をまとめました。
Q1.小学校でのプログラミング教育の必修化に賛成ですか?反対ですか?
81.5%が賛成と回答しました。
また年代別に見ると、20代・30代の賛成は84.7%、40代・50代の賛成は78.5%と、特に若い世代において賛成する人が多い結果となりました。
Q2.プログラミングをいつ頃から勉強したかったと思いますか?
今回はプログラミングを勉強している人へのアンケートのため、いつ頃からプログラミングを勉強しておきたかったかを聞きました。
小学生の38.4%が1位、ついで中学生の31.1%という結果になりました。プログラミングの必修化は小学校・中学校で行われる予定ですので、現在のプログラミング学習者のニーズには合っていそうです。
Q3.自分に子どもがいたとして、自分の子どもにプログラミングを勉強させたいですか?
子どもがいらっしゃらない方もいるため、子どもの有無に関わらずお選びいただきました。
結果、86.8%が「勉強させたい」と回答しています。
「勉強させたい」と回答した方の理由として、下記のようなものがありました。
- プログラミングを勉強する過程で、論理的思考力や問題解決能力など様々な普遍的な力が養われると思うから
- 今後もプログラミングの仕事がなくなることはないと思うから
- 自分もプログラミングを学んで世界が変わったから
- ウェブやシステムは生活に欠かせないものとなり、その礎となっているプログラミングの知識があることで世界が広がると思うから
- 世の中の仕組みがどんどんデジタル化、IT化されていく中で、仕組みの理解や自分のリスク管理にプログラミングの知識があったほうがよいと思うから
一方で「勉強させたくないと」回答した方の理由としては、下記のものがありました。
- プログラミングより学習すべき学問があると思う(英語力の強化など)
- 小学生の時は読み書き演算(国語算数)の演習の時間を増やして、基礎を徹底的に習得させたほうがいい
- 教員にどれだけのスキルが身についているかが不安
- IT技術職に就くとも限らないのにプログラミングを学ぶことのメリットがわからない
少なくとも、プログラミングを実際に勉強した人はプログラミング教育の必修化に賛成し、自分の子どもにもプログラミングを勉強したいと思っているようです。
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